中村さん:当店のランチはサラダも提供していて、生野菜はほぼ全て、ハンサムガーデンさんのリーフ系レタスを使っています。
山口:それはなぜですか?
中村さん:「鮮度」がね、やっぱり全然違うので。
というのも、流通経路が短いんですよ。市場の野菜とは違って、ハンサムさんの場合は、奈良県宇陀市で収穫された後、大阪までは、同じハンサムさんの担当者の方が運んでこられて、それを我々が引き取るので、配送の過程で携わる会社は1つのままなんです。なので、場合によっては、朝収穫したてのレタスが届くこともあります。とにかく、収穫からお客様の口に入るまでが早いんです。
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山口:生産から配送までが、同じ会社で一貫されていることは大きいのですね。他にも何かメリットはありますか。
中村さん:生産者が明確で、何かあればすぐ確認できる安心感があります。
もし、お客様に、「これはどこの野菜ですか」って聞かれても、
我々は「これは、生産地は『奈良県宇陀市の榛原』で、〇〇という会社の野菜です。」って明確に言えるじゃないですか。それが一番ですね。
確かに、我々が中央市場の八百屋さんで野菜を買う場合も、八百屋さんがお店へ配送してくれます。しかし、先ほどとの違いは、「その野菜は、いつ八百屋さんが仕入れたのか。もっと遡ると、いつ収穫されたのか。」が全く分かりません。
つまり、野菜の生産に関わることが、こちら側からは全然見えないのです。
出産者さんの顔まで分かる言うと極端かもしれないけど、最近もよく窪さん(ハンサムガーデン)が来ますが、窪さんが持ってきた野菜であり、生産者自身が言っていることやから、信憑性もあり、やっぱり信頼がおけます。
あと、もしお客様から食材のことでリクエストがあった場合は、そのまま僕が窪さんにすぐ聞けますし、色んな意味で安心できます。
山口:そうなんですね。飲食店の方ならではの重要な視点を多々知れました。
「どこの/誰が/どうやって/育てたのか」が分かる「安心」が核ですね。
ちなみに、宇陀産のレタスは「有機野菜」なので、この点も「安心」に繋がりますね。
中村さん:有機野菜なので、虫がついている場合もあり、洗浄済みでも残らないよう気をつけるべき点では、マイナス面が確かにあります。ただ、先述した通りなので、我々は「安心して食べていただけるものだ」と胸を張って言えます。
山口:分かりました。ありがとうございます。
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山口:今までの質問では、宇陀の食材に特化したお話を伺ってきましたが、他のお野菜も含めて、食材を選ばれる際に意識されていることを伺いたいです。
中村さん:まず、根菜類(玉ねぎや、お芋、かぼちゃ等)は、鮮度は葉物に比べてさほど気にしません。むしろ、熟成させた方が美味しい野菜、例えば、さつまいもがあるぐらいやから、根菜はあまり鮮度の影響はないんかもしれないですね。
しかし、葉物野菜は全然違います。鮮度が一番大切なので、特に色や水分量を見ます。なぜなら、朝食や昼食にはサラダが必須ですし、同規模の他店と差別化を図るべく、サラダに力を入れているからです。
興味深いことに、宇陀のレタスと普通のレタスをそれぞれちぎってお皿に盛っておくと、違いがよく分かるんです。
まず、普通のレタスの場合は、配送時に鮮度が落ちた影響で、ちぎる前から既に水分が抜けています。そのため、盛り付けた後の体積に変化はありません。
一方、宇陀のレタスはちぎっても、あまりに水分が含んでて鮮度がいいから、ちょっと置いてただけで、次第にしぼみはじめるんです。元々たっぷり水分が含んであると分かる証拠です。
山口:新鮮だからこそ葉がしぼむのですね。なかなか面白い結果です。
中村さん:はい。盛り付けた瞬間というのは、分かりやすく鮮度を判断できる色であったり、見た目をしています。
なぜ、葉物は宇陀のを使ってるのかという一番の理由は、盛り付けるとふわっとなるからです。普通、1枚ずつの(非結球の)サニーレタスは、玉のレタスと違って葉が硬くないから、盛ると必ずベタっとなります。
一方、宇陀のレタスを盛ると、全体的に見て、割と(実際の重さより)体積が大きそうに感じます。その方が、見た目がより新鮮に見えてますね。そして、やはり色も良いです。
山口:確かに、ふわっと盛られたレタスを見ると、新鮮で美味しそうだと伝わりますね。
中村さん:その通りで、サラダの鮮度や見た目は、ホテルの朝食ではとても重要です。
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山口:最後に1つ、気になった点を伺いたいです。入り口のドアを開けた正面に、さっそくハンサムガーデンのレタスサラダが置かれてあったので驚きました。どのような意図があって、この配置に決められたのですか。
中村さん:先述した、サラダに力を入れている件と大いに関係があります。当店は、いわゆるバイキング形式で朝食をやっているので、大きな容器にあの葉物レタスをガバっと置いた状態で提供しています。なので、写真の通り、見た目にインパクトがあるんです。これを入り口に置けば、一気に華やかな店内に見え、お客様も喜ばれるかと思います。
山口:写真のポップは、宇陀とハンサムガーデンの紹介ですか。
中村さん:そうです。地産地消を意識して付けました。正確には、ここは大阪なので奈良とは違いますが、大阪自体は農地がほぼないので、大きく括って良いでしょう。
できれば、本当は宇陀のお米なども買いたいと思っています。お米も野菜も同じ地域から仕入れたら、「〇〇産地の食材使っています。」と大きく言えるので。地域とコラボレーションとまではいかなくても、全部買えたらいいな…とは思っています。数年前から検討するも、お米は難しいです。現在も、利便性とコストの点で、可能な限りのことはしています。
山口:そうなんですね。奈良県民として嬉しい限りです。
これにて取材を終わりにしたいと思います。
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取材を終えて
山口
余談ですが、中村さんが宇陀市のお野菜を採用する理由について、ご実家へ帰られる度に高速道路で宇陀市を通っていたため、生産地の雰囲気を知っているという安心もあったそうです。
確かに、個人的にも馴染みがある場所のお野菜なら、より親近感が湧きます。
本日の話からは、鮮度と安心安全を重視されていることがよく分かりました。
ハートンホテル北梅田 北野ガーデン 中村昌義さん
この度は、お忙しいところ親切に取材へ応じてくださり、誠にありがとうございました。
これからも、奈良県宇陀市の農産品をどうぞよろしくお願いいたします。



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