宇陀オーガニックヴィレッジフェス(2025年11月22日開催)の準備も進み、いよいよ登壇者が決まり始めています。今回ご紹介するのは、イベント当日、1限目の「農業経営に挑む!若手からベテランまでのリアルを知る」に登壇予定の浦賢彦(うら よしひこ)さんにハンサムガーデン松田がお話を聞きました。
浦賢彦(うら よしひこ)さん
就農15年目の農家が宇陀で貫く露地農業のスタイル
農協職員から専業農家へ
専業農家になったきっかけを辿ると、JA勤務時代に30歳で営農指導員になったことだ。「それまで農業資材の配達などはやったことあれど、NPK(窒素・リン酸・カリウム)も野菜の作り方もしらない。これでは指導する立場になれない。」と勤務時間外を使ってJAで取り扱うホウレンソウ、ハクサイ、レタスやトウモロコシなどの栽培を始めた。JA出荷していた農家に教えを請いながら技術を磨き、宇陀管内の各地域に配置された営農指導員の同僚との議論を通じて、徐々に栽培成果が出るようになる。
JA営農指導員を始めて約8年。38歳でJAを退職し、専業農家の道へ。辞めたきっかけは考え方の違いからで、家族からも反対されたが辞めたことに後悔はない。それぞれの立場で農業に貢献するという思いもあった。就農当初はハウスを建てる前提で農地を探していたが、適した土地が見つからず、現在もすべて露地栽培。今思えば、ハウス栽培に手を出さなくてよかったという。ハウス栽培(葉物)のデメリットは調整袋詰め作業に時間がかかること。ハウス栽培は自分のひとり(ぼっち)営農スタイルに合わないと感じているからだ。
(※奈良県宇陀市はハウス葉物の栽培が盛んで新規就農のほとんどがハウス栽培を選択している)
就農当初から安定した売上と、15年続ける「おいしいタイミング」での収穫
農業関係の補助金は取得せず、独立当時の売上は53歳の今とほとんど変わらないのが浦さんの農業の特徴。少し説明すると、農業経営は基本的に農地面積と栽培品目の面積あたり売上単価に比例するシンプルなもの。保有農地を計画通り栽培して出荷すると、基本的に売り上げは大きく変動することがない。浦さんの営農スタイルや技術が就農当初からすでに確立していて、かつ環境要因にぴったりと合致していたのではないかと想像できる。
栽培のこだわりは、買ってよかったと思ってもらえる作物を出荷すること。品目ごとに一番おいしい時間帯に収穫することを心がけていて、夏場の主力であるトウモロコシは3時に起きて畑にでることを就農当時から15年続けている。
就農当時はJAにも出荷する慣行栽培だったが、主な売り先が徐々に直売所に移るにつれて特別栽培の割合が増えていった。2026年は水稲の一部を有機栽培に切り替える予定だそう。他の農家が実践する有機米栽培を見て、自分の営農スタイルに照らし合わせ、こうすればできるかもしれないと思えるポイントが見つかったからだ。
後輩にアドバイス
最後に、あとに続く後輩農家にアドバイスするならば?という問いにこう答えてもらった。
失敗をおそれないこと。失敗したら原因と分析。わからない事は事案別にこの人に聞く!という相談先を作る。
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インタビュアー あとがき
お話を聞く中で、浦さんが農業を続けることができた理由をぐるぐると探していました。
ひとつは、営農指導員時代の助走期間の充実。体力気力のある30代に技術をじわじわとまわりから取り込みながら、失敗→分析→実践(営農指導に生かし、自分も実践)を繰り返し続けたこと。
ふたつめは、当時の周辺農家の気骨にあてられたこと。早朝(というか夜)から収穫し、JAに出荷にやってくる農家を間近に見て育った営農指導員時代。今の浦さんの営農スタイルの根っこになっていると思います。
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