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「食品ロスを無くそうと始めた」取材先:イルベッカフィーコ さま ( 飲食店/大阪 )

 食品ロスを無くそうと始めた

聞き手:山口 麻那@ハンサムガーデン 2025.10.04

 IL BECCAFICO (イルベッカフィーコ)は、大阪の肥後橋駅近くにある、なんと築100年以上経つ大正時代の建物の2階にあります。
 ドアを開けると…(驚)店内の様子は写真の通り、外観からは想像がつかないほど素敵な内装で、思わず感動の声が出ました。


−2012に開店。自家製手打ちパスタとワインを楽しめる。ボリューミーな点も好評。


ーーーーここからは、店主の岡田光弘さんとの対話が続きますーーーーーーーーーー

山口:早速ですが、「商品開発」の観点からお話を多々伺いたいと思います。


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サービスの鍵は「満足感」

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山口:お店の口コミ等を調べていたのですが、大勢の方が「価格に対するボリューム感が凄い」と高評価をされていました。

岡田さんは、どのような想いでお料理を提供されているのですか?


岡田さん:お客さんがお腹いっぱいになって、「また来たい」と思っていただけるようにと。元々、自分が外食でランチをする時にもの足りなさを感じていたので、自分のお店では満足できる量を提供しようと思っていました。原価<満足感 重視です。


↑ 口コミサイトの投稿写真【ランチ/前菜】

*写真のレタスが宇陀産です。

https://tabelog.com/osaka/A2701/A270102/27065002/


関連話として、実は、毎週月曜日に子ども食堂もやっております。
「うつぼ子ども食堂」という名前です。イルベッカフィーコとは別です。
あまり公にはしていませんが、インスタで検索すると見られます。
ここも、子ども達にお腹いっぱい食べてほしいとの想いで始めました。

宇陀のお野菜も使っています。有機野菜なので、子ども用にも健康的でちょうど良いです。

(→あとにも、子ども食堂のお話が登場)


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プライベートでの宇陀訪問と針テラス
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山口:食材の一部が宇陀産ということで、岡田さんが奈良県宇陀市を知るきっかけを伺いたいです。

岡田さん:僕はバイクに乗るのが好きで、元々、プライベートで宇陀市の「針テラス」へ何度か訪れていました。ご存じですか?  

宇陀といえば、「針テラス(針インターチェンジ)」=バイクの聖地です!サービスエリアには、宇陀のお野菜などが売ってあり、生で食べさせてもらったこともあります。


でも、宇陀産の野菜を仕入れようと決めたきっかけは別にあります。


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野菜の仕入れと市場
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山口:では、今お料理に使われている宇陀のお野菜はどこで知られましたか?


岡田さん:知り合いから教えてもらいました。TAKAMURA Coffee Roasters(タカムラ ワイン&コーヒーロースターズ)という酒屋さんのワインショップです。今では、毎週そこへ宇陀産レタスを仕入れに行きます。事前に直接、生産元のハンサムガーデンさんで注文し、タカムラさんでレタスを受け取ります。最近は、レタスの他に、旬のかぼちゃも頂いています。
  

山口:そうなんですね。一般的に、飲食店の食材は市場で買うイメージがありました。


岡田さん:市場も合わせて使っています。


山口:それでは、仕入れ方法が

①市場取引

②生産農家と直接取引

の2パターンあるのですね。


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市場取引と直接取引のメリット・課題

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山口:それでは、岡田さんが、これまで上①②の方法を試してきて見えた、それぞれの勝手が良かった点や、現状の課題があれば教えていただきたいです。


岡田さん:①市場取引の場合は、県や産地までは分かっても、生産農家までは分からないことがあります。なので、できれば②の農家が分かる仕入れをしたいですが、価格や条件次第です。直だから安いとは限りませんが、安い時もあるので、まちまちですね。

②直接取引の場合、特に無農薬野菜になると、やっぱり季節柄の虫がついています。なので、大変ですがお客さんへ提供する時には細心の注意を払って洗っています。かなり気をつけていますが、どうしても取り切れない部分が発生することがあります。どうかお客さんに理解していただきたい点でもあります。


②の良かった点ですが、(うまい言葉があるか探し中ですが…、)

とにかく全体的に良かったから、今も継続して利用しています。


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野菜選びのポイントと「食品ロス」

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山口:今までは「仕入れ方法」について見てきましたが、「お野菜を選ぶ際に重視する点」も伺いたいです。


岡田さん:鮮度は当然大事です。ただ、「早く使い切れる野菜」なら、たとえ日持ちが短い野菜も、僕なら受け入れて選ぶことがあります。


うまく表現するのが難しいですが、「バランス感覚」を大事にしています。

鮮度は大切にしています。その一方で、今すぐ使う野菜なら、日持ちしないお野菜も積極的に使いたいと考えています。今使うなら、長持ちしなくても傷む心配はありません。どうか意味合いが伝わってほしいです。こんな感じで、食品ロスが生じないように心がけています。


「食品ロス対策」といえば、子ども食堂の取り組みもつながります。  

こちらの活動も、食品ロスが出るくらいなら、子ども達に、まだ食べられる状態のお野菜を腹いっぱい食べてほしいとの想いで行っています。それが野菜も子どもも喜びます。


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ハンサムガーデンのレタス

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山口:ハンサムガーデンのレタスはどういったものを選ばれていますか?  

岡田さん:お任せで週に9キロほどのミックス系です。

山口:レタスの美味しさはどんなところですか?  

岡田さん:うちのドレッシングに合うんですよ。うちはシンプルに、酢と塩とオリーブオイルだけのドレッシングですが、シンプルでこそ十分に美味しく感じられます。


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最後に

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山口: 15分ほどの短いお時間で、想定外の興味深いお話が色々と伺えてよかったです。

お忙しいところ、親切に対応してくださりありがとうございました。



〜取材を終えて〜


どのお話も、学生のわたしからは初見の興味深いお話ばかりでしたが、特に食品ロスと子ども食堂のお話が印象的でした。岡田さんがおっしゃる食材選びの考え方は、普段のお買い物の際に実践できるので、さっそく意識していこうと思いました。


また、岡田さんが終始笑顔で取材に対応してくださり、写真撮影時も臨機応変に趣向を凝らしてくださるなど、お人柄の良さが随所で全面に感じられました。そのような姿勢にも感化されました。この度はありがとうございました。


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IL BECCAFICO イルベッカフィーコ
〒550-0002 
大阪府大阪市西区江戸堀1-23-30 ダコタハウス2F
TEL : 06-6449-9611
営業時間:
【ランチ】12:00〜14:00
【ディナー】18:00〜
【定休日】火曜日
公式サイト:https://www.ilbeccafico.jp/



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編集者:山口 麻那(大学生)

今年の夏より、ハンサムガーデンでインターン中。
  食と病気と政治の関係性を知り、
有機農業に深く関心を持った。
 
当イベントに携わる前は、農産品の商談会用チラシの
デザイン/構成を担当。

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