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オーガニック野菜・地産地消で広がる子どもの食育の可能性

「食べたい気持ち」を育む給食づくり

広報:生田 ゆき@ロート製薬 2025.09.17

宇陀市こども園 給食・食育担当 池住先生に聞く~オーガニック、地産地消の取り組み~

――宇陀市の保育園では、地元のオーガニック野菜を取り入れた給食を提供していると伺いました。

池住先生:
はい。ひと月に10日くらいの割合で、地元農家さんから届いた有機や地元野菜を給食に取り入れています。子どもたちにとっては「スーパーの野菜」だけでなく、「農家さんから届く特別な野菜」に出会える大切な機会です。色や形が珍しい野菜にも出会うことで、「ちょっと食べてみようかな」「これはどんな味なんだろう!?」という好奇心が育つんです。

――ただ「食べさせる」のではなく、「食べたくなる気持ち」を総合的に引き出すのが食育なんですね。

池住先生:
そうなんです。無理に「食べなさい」と言っても逆効果。むしろ、皮をむく体験や、年長さんがエンドウ豆のサヤをむいている姿を見て、小さい子が「お兄ちゃん、お姉ちゃんがむいたものをぼくも食べてみようかな」となる。単に有機野菜を使っているというだけではなく、体験や人とのつながりを通じて総合的に子どもの食への好奇心を広げていくことを大切にしています。

――オーガニック野菜ならではの魅力はどんなところにありますか?

池住先生:
苦みやえぐみが少なく、やわらかくて食べやすいんです。例えば春菊を生で食べても大人が驚くほどおいしい。子どもにとっては「野菜ってこんなに甘いんだ」という体験になります。これは有機ならではの感動ですね。

――地元農家さんとの連携も盛んだとか。

池住先生:
はい。米は農家さんと年間契約で仕入れ、常に新鮮なものをいただいています。月に1回は有機米の日もありますよ。地元の農家さんでの畑での収穫体験も実施していますし、ポップコーン用のとうもろこしを育てる園もあります。子どもたちにとっては、“どこで、誰が育てたか”が見える食材が日常にあるのは本当に貴重です。

――宇陀市全体で、子どもの「食べる力」を育てているのですね。

池住先生:
ええ。食べることは生きることです。だからこそ「よく噛む」「残さず食べる」を大切にしています。頂いた命はこどもたちの身体に残る。食べることは尊く、たくさんの繋がりを感じれる。そういう感性を養ってほしいです。地域の農家さん、保護者、保育者みんなで支えて、子どもたちが食べる楽しさを知り、健やかに育つ。その循環が宇陀市の給食には息づいていると思います。

まとめ

宇陀市の保育園での取り組みは、オーガニック野菜を「給食に出す」だけにとどまりません。農家と子どもたちがつながり、食材の背景を知りながら「食べたい」という心を育む食育。
“子どもに本当にあたたかいまち”という宇陀市の姿勢が、ここからも伝わってきます。

「食べる力」を未来につなぐ宇陀市の挑戦。
その一端に触れられるのが、11月22日に開催されるオーガニックビレッジフェス in 宇陀です。ぜひ足を運んで、宇陀の「食育の温かさ」を体感してみてください。


生田 ゆき(所属:ロート製薬株式会社)
8年前に東京から単身で宇陀市に移住し
気がついたら現在第3子妊娠中。
母となりより食や環境保全の重要性を再認識。
SNSや広報担当として有機農業の魅力をお伝えすべく奮闘中です。



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